授業担当は、地歴科の高木佑也先生。毎年、アイスランドやマチュピチュに研究旅行に行き、熱心に教科の研究を行っています。今回の授業は、昨年の夏訪れたケニアを題材に、「子供が学校に行けず働いている」、「犯罪が多発」など、現在のケニアが抱える問題を、クラスで考えるというものでした。

●何が問題? 誰が正解? 誰が悪? 何がどうなれば解決?
まずはグループに分かれ、「働いていて学校に行けない子供」、「失業中の父親」、「警察官」、「子供を働かせる仲介人」、「ボランティア」それぞれの立場で、問題点を話し合いました。
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グループの皆は活発に議論をし、それぞれの問題点を発表しました。 最終的に、根本的な問題点はやはり「しっかりとした賃金を得られる仕事がない」というところに行きついたのでした。

●コートジボワールの子供たちによって作られたカカオ豆(チョコレート)を食べる私たち
カカオ農園で働く人のうち、約64%が14歳以下。自分たちよりも年下の子供たちが学校に行けずに働いて得たものを、私たち先進国の人間が手軽に楽しんでいる…。いつも何気なく食べているチョコレートに実はこんな背景があるのだということを聞き、生徒たちは衝撃を受けたようです。「何か罪悪感…」という声も聞かれました。
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●私たちにできること
では、なぜこんなことになってしまっているのか、高木先生は「植民地支配」という歴史的背景から話を始めました。アフリカでは、植民地時代の商品作物を今でも作り続けている国が多いため、国際価格の変動などに簡単に影響を受けてしまったり、賃金が安く抑えられてしまったりしているのです。根深い問題なんですね。 その問題を解決する一つとして、「フェアトレード」というものがあるのを知っておこう、というところで授業は終了しました。

●授業の感想
「遠い国の問題を自分たちの問題としてとらえる」こと。グローバル化が進む現在、このことがより重要になってくると気づかされる、問題提起に富んだ授業でした。生徒たちも「アフリカの国々の問題は自分たちの生活にもつながっているのかもしれない」という新たな視点を得たようでした。また、「なぜこうなっているんだと思う?」という先生の問いかけに、クラスのあちこちから大きな声でたくさんの意見が飛んでいたのが印象的でした!(例えばなぜケニアの一番多い輸出品は「お茶」なのか、など。皆さんも考えてみてください。)